全身疾患がある患者様の場合、歯科治療において、注意を払わなければならない事が出てきます。
今回は、骨粗鬆症の患者様のケースを、書かせていただきたいと思います。
【歯と骨の関係】
歯の治療と言いますと、患者様目線で見ると「歯」というものに目が行きがちになるかと思うのですが、この患者様がおっしゃる「歯」というのは、正式には歯冠と呼びまして、その歯冠は目に見えている部分です。
見えていない部分に、歯根というものがあります。
この歯根は、上あごと下あごにある歯槽骨に埋まっているわけです。
歯槽骨というぐらいですから、この部分は「骨」なんですね。
ですので、歯というものは骨と密接な関係を持っているのです。
【ビスフォスフォネート製剤を服用中の患者様へ】
そんな中、骨粗鬆症の治療薬としてビスフォスフォネート製剤(BP製剤)を服薬中の患者様の場合、その状況のまま、例えば抜歯などの治療を行ってしまいますと、顎骨壊死(ビスフォスフォネート性顎骨壊死)が起こってしまう危険性があります。
顎骨壊死とは、抜歯後、骨が露出したまま完治しなかったり、感染症にかかり、それが広がって排膿が続き、上あごと下あごが壊死してしまうというものです。
ビスフォスフォネート製剤を服用中の患者様の抜歯治療を行う場合は、この薬の服用を休薬する必要があります。
そのため、ビスフォスフォネート製剤を服用中の方は必ず、問診の際にその旨をご相談いただかなければなりません。